概要

新材料の登場は既存概念を変える!

我々は,物質が本来有する物性を「機能」として発揮するように,電子・原子・分子・結晶格子・組織構造という様々な階層レベルで設計し,全く新しい「材料」を創造する理論・技術を構築しています.このような新材料開発は革新技術の発展においてパラダイムシフトを引き起こします.

材料科学・材料工学は,新たな材料を作り出し,未だ世にない新しい物を作るために必要な材料を創造する学問・技術です.そのままだと錆びてしまいぼろぼろになる鉄も,錆びにくいステンレス鋼というものが創りだされ,世の中の機械・建築構造物の設計を大幅に変更することができました.高強度特性をもてば建造物のデザインもスマートになり,高層ビルや複雑なタワーなどが建設できるので,美術にこだわった意匠性までが変わります.また,1000℃まで耐えられる既存のタービンブレードが,将来的に2000℃まで耐えられる材料に置き換えられたなら,ガスのエンタルピー落差をより大きく使えるため熱・仕事の変換効率は格段に上がりますし,そもそも1000℃までガス温度を落とすような余分な配管なども必要ありません.このように,新材料の登場は,機械や建築の設計概念を変えてしまう力を持っているのです.ハイテク機器用の機能性材料についても同様です.材料の機能性を使っている例として,磁性を利用した記録装置,また磁気抵抗効果を利用した磁気記録の読み取り装置,アモルファスと結晶の反射率の差を利用したDVD やBluray用光相変化材料,半導体バンドギャップを利用した太陽電池用パネルや青色発光ダイオードなど,多くのデバイス機器が開発されてきました.このようなデバイス開発の背景には,新材料の発見・開発が必ず潜んでいます.また,エネルギー関連事業にも多大な貢献をしています.

変換効率の高い半導体デバイスの開発,中温で作動する燃料電池用のプロトン伝導体や酸化物イオン伝導体の開発,エネルギー貯蔵用リチウムイオン電池用の電極材料開発や新型蓄電池の開発など,多岐にわたる材料研究がおこなわれています.